1 物流コスト削減法
物流コストを削減しようと考える時「作業の邪魔にならないよう庫内は整理整頓されているか」「在庫の配置は出荷頻度を考慮しているのか」「スタッフの処理スピードは適正か」等ということに目がいきがちです。ですが、それらひとつひとつが実は重要なのではなく、現場で目に見える問題を放置している企業の構造、それこそが問題なのです。無駄を省く、効率化といった課題が会社として共有化されていれば改善の方向へ向くでしょう。しかし、そういった指示も無く、期待もされていないのであれば誰もそんな面倒なことはやりません。利益を生み出す為には、売り上げ増と同様に、物流コストを見直すことが必要です。では、具体的にどのようにすればコストを削減出来るのでしょうか。
【物流だけでなく全体で考える】
在庫、返品、緊急出荷、締め切りを守らない注文などは営業による顧客満足実践の結果です。一方で、これら全ては物流の効率性を落とす原因です。つまり、物流コストを上昇させているのです。そしてこれらは物流の責任ではなく、売り方、仕入れ方の問題なのです。顧客の要求を丸呑みするのではなく、妥当な水準まで是正したいものです。
【お金をかけない】
コスト削減の為に倉庫を集約して、必要以上に立派な新しい物流センターを作ってしまい、結果として物流コストが上がるという本末転倒な事態が起きることがあります。また、顧客の要求全てに対応出来る高度な作業システムにお金を掛けすぎるということもあります。逆の発想で、物流を高コスト化している構造にメスを入れ、不要な物流を一切やらないですむような仕掛けを作りたいものです。
【数字を把握する】
物流コストというと輸送費はいくら、保管費はいくらということに目がいきがちですが、それだけでは管理する為に数字を使うことが出来ません。作業ごとにどの位時間をかけているかデータを取り、ケースピッキングや梱包という活動ごとにコストを集めます。それにより、どの活動にいくら人件費がかかっている、スペースのコストがいくらかかっているということが見えてきます。そうすると何故この活動にこんなに人件費がかかっているのかという疑問が湧き、その解明の為の分析に発展させることが出来ます。
物流そのものの問題点以外に、営業や仕入れ等マネジメントの失敗が倉庫の中に隠されています。隠されている失敗を引っ張り出し、それを発生させない為にはどうすればいいかを考える。物流の現場で起こっていることを全て解決することで会社全体を変えることまでも可能なのです。