流し読みでわかる営業力強化法(12)
~「提案型営業」で勝つ!~
流し読みでわかる営業力強化法の12回目は、「提案型営業」で勝つ!―自信がつく、売り上げがのびる(プレジデント社、1996年)です。
著者の三宅壽雄氏は、1948年生まれ。法政大学卒業後、いくつかの会社で営業マン、営業マネージャーを経験し、87年に営業コンサルタントとして独立しました。数多くの有力企業の研修、コンサルテーションを行うと同時に、講演、執筆でも活躍中です。今日の営業と営業マンにとても精通しており、その人間味溢れた独自の主張に多くのファンが存在します。
この書籍にはもう一つの隠されたタイトルがあります。それは「中の上の営業マンをめざせ」です。多くの人は、トップセールスマンを目指そうとしますが、トップセールスマンは天性の才能に恵まれていたり特殊な価値観をもっていることが多く、普通の人間には真似ができません。人間は達成できないことに挑んでみても、つまずくか、大きなダメージを受けるのがオチです。だから、普通の人でも到達できる「中の上の営業マン」をめざした方が現実的なわけです。
今回は、この著書の中から、中の上の営業マンとなるためのポイントなどをご紹介します。
1.訪問件数よりアベレージ
通常、営業は「①訪問→②面談→③有効商談→④有望見込→⑤契約」と推移します。各段階ごとの成功率(アベレージ)を上げることで契約数を飛躍的に伸ばすことができます。例えば、各段階の成功率(アベレージ)が50%の場合、200件の訪問で契約に至るのは12件ですが、各段階でのアベレージを50%から60%へと10%アップすると、契約数は26件と倍増します。訪問件数を倍増させるのは至難の業ですが、段階ごとのアベレージを10%アップさせるのは比較的簡単です。各段階でのアベレージ・アップのポイントは次のとおりです。
(1)①訪問→②面談 ・切り出し話法(いきなり要件に入らず、世間話やお客さまの利益につながる話から切り出す話法)を強化する。 ・見込客選定の精度をあげる。購入する確率が高そうなお客をあらかじめ調べ、その上で訪問する。その方法としては、顧客から紹介してもらうのが一番手っ取り早い。 ・セールスマナーを磨く。 ・アプローチ・ブックを活用する。 (2)②面談→③有効商談 ・情報提供の工夫・強化。まずは、いい情報を一つ提供する。そうすれば、お客は「他にもいい情報をもっているかも」と期待して、最後まで聞いてみようと思うものです。 ・質問の活用。質問でお客の口を開かせる。口を開けば心はおのずから開くものです。 ・問題提案力の強化。「・・・というようなことでお悩みではありませんか」とズバリ切り込む。お客は問題解決の提案を期待して素直に耳を傾けます。 (3) ③有効商談→④有望見込 ・応酬話法(お客のどんな断りにはどういう応酬(返答)するのが良いかというトーク方法)を磨く。 ・商品知識の補強。お客は知識の豊富な営業マンほど信頼するものです。 ・提案書の活用、プレゼンテーションの工夫・強化 |
①お客の立場で作る。つまり、どうすれば、お客様が助かるかを最優先にストーリーを組み立てる。 ②お客の「イエス」を引き出す。お客様の不安(ノー)を安心(イエス)に切り替えるような情報にする。 ③お客と一緒に作る。相手に改善点の指摘をお願いすることで、こちらの謙虚さと熱意が伝わります。また、共同作業にすることで仲間意識が芽生え、こちらサイドに立ってくれる可能性が非常に高まります。 |
①初回面談の礼状。その日のうちに出すのが効果的です。 ②提案のフォロー。提案した後に自分の信念や熱意を綴って送ることで、提案が通る可能性が高まります。 ③成約のお礼。リピート注文や取引拡大が容易になります。 ④紹介の礼状。紹介したことに対して丁寧な礼状をくれる営業マンには、また紹介したくなるものです。 ⑤その他。クレーム処理後の詫び状、不在客への挨拶、既存客へのご機嫌伺い、病気見舞い、お祝い事など。 なお、セールスレターはできるだけ手書きにしましょう。また、手紙に関する常識は守り、誤字脱字には注意しましょう。時には記念切手や記念ハガキ、凝った便箋を使うと効果的です。 |